文字サイズ
太古の歴史と神秘に触れる アンコール・ワット5日間
今回の観光の位置関係です。
アンコール・トムから観光スタートします。
アンコールは都市、都城、町の意味
トムは大きいという意味です。
アンコール・トムは大きい都城という意味になります。
1辺3kmの正方形で高さ8m周囲約12kmの城壁で囲まれ、
入場するための門は5ヵ所しかありません。
広さは東京ドームの60個分だそうです。
アンコール・トムの中にバイヨン、象のテラス、ライ王のテラスがあります。
アンコール・トムへ足を踏み入れるところから参りましょう。
アンコール・トムに5つある門のうち南大門からおじゃまします。
南大門と塀を結ぶ橋の欄干には
ナーガ(蛇)を引きあうデーバ(神)とアスラ(阿修羅)の像が道の左右に並んでいます。
**ちょっと脱線**
阿修羅は広く悪鬼神として知られているのではないでしょうか。
阿修羅は本当は天界の神だったのです。
帝釈天が主である天界の一部に住んでいたのですが、
帝釈天といざこざがあり天界を追われてしまった。
これは、帝釈天ちょっと悪くないかしら?説です。
もう一方は、阿修羅ちょっとやりすぎじゃない?説です。
認識の違いから帝釈天といざこざがあり、蓋を開けてみたら丸く収まってたのに、
阿修羅が許す心を失ってしまったというものです。
仏教ではたとえ正義であってもこれに固執し続けると善心を見失い、
妄執の悪となるとして、阿修羅界が加えられたとかなんとか。
この辺は解釈がたくさんありますので、一概には言えないのですが、
小話の一つとして
はい、そんな通路を通って南大門に到着です
南大門はアンコール・ワットやシェムリアップの街から一番近い入口のため
この入り口から入ることがほとんどです。
南大門の塔には東西南北に観世音菩薩の顔が彫刻されています。
このお顔の大きさは3メートルもあるとか。
南大門の他に北大門、西大門、死者の門、勝利の門があります。
アンコール・トムのほぼ中央に位置しているバイヨン
「美しい塔」という意味です。
ヒンドゥーと仏教の融合寺院です。
ここで余談です。
ヒンドゥーと仏教は結構融合?しています。
例えば大黒天
七福神の一柱ですが、
「大」はサンスクリット語でマハー
「黒」はサンスクリット語でカーラ
ヒンドゥーの一柱「マハーカーラ」の事です。
マハーカーラはシヴァの別名です。
このマハーカーラが密教に取り入れられていき
チベットから中国そして日本へと伝播してきました。
マハーカーラの持っている3つの性格のうち富貴爵禄つまり財福の面が強調され、
大国主神と習合して現在の大黒天の姿となっています。
ただ、バイヨンの場合は仏教寺院として建設されたのち、ヒンドゥーへ改修されたと考えられるので
その結果混在しているみたいです。
アンコール・トムは12世紀後半に、
ジャヤヴァルマン7世によって建てられています。
大乗仏教を基本としていて須弥山(スメール山)を象徴化しています。
須弥山とはサンスクリット語のスメールを漢字に音写したものです。
音を当てただけなので漢字自体に意味はありません。
スメール山とは仏教以前の古代インドの世界観で、
それがヒンドゥー教やバラモン教、ジャイナ教も取り入れています。
この宇宙観の説明は永遠に終わりませんので、諦めます、、、涙
バイヨンは3層構造になっています。
バイヨンの中央の一番高い建物が中央祠堂
その外側が第二回廊
さらにその外側が第一回廊です。
門や回廊は第一層
第二層には16の塔がありその4面に観世音菩薩(アヴァロキティーシュヴァラ)のお顔が彫刻されています。
第三層はテラスになっていてその中央にはシヴァリンガが置かれていたそうです。
回廊にはアンコール・ワットにも彫刻されている「乳海攪拌」のレリーフもありますが、
このレリーフはあまり状態がよくありません。
回廊は主にベトナム中部にあったチャンパとの戦いや人々の日常生活が描かれています。
チャンパとの戦いのシーンはクメール軍は髪が短くお耳は大きく
中国軍は顎髭と髷を結っています。
人々の日常生活は闘鶏をしたり市場の様子が描かれていて当時の日常を知ることができるとても楽しい時間になります。
第二回廊に入ると勝利を祝うシーンのレリーフが多くみられます。
勝利を祝ってバナナを焼いたり、豚一頭を調理したり、ごちそうを食べたりと結構臨場感があります。
あとクリシュナやシヴァも多く描かれています。
よく出てくるアプサラ
インドにおける水の精で天女とも言われます。
『ラーマーヤナ』や『マハーバーラタ』で描かれている乳海攪拌の際に生まれ出でた天女といわれています。
中央祠堂の高さは43メートル
彫刻されているクメールの微笑みと言われる4面の観世音菩薩はやはり必見です。
菩薩は人々を苦悩から救済するために、菩薩となったら永遠に菩薩で生まれ変わるそうです。
悟りに達することもできるが、悟りに達してしまうと生まれ変わることができず、
人々を救済することができなくなるため、あえて悟りを開かないとか。
菩薩さまさまです。
ジャヤヴァルマン7世は、観世音菩薩があらゆる危難から人々を守り、
その病を治し、すべての人々の救世主であると考えられていたため、
それらのことを政治の鏡にしようと考えていたのではと言われています。
象のテラス
バイヨンと同じくジャヤヴァルマン7世によって築かれました。
王宮前の閲兵のための広場の前に面した
全長約350メートル、高さ4メートルの巨大なテラスです。
象のレリーフが描かれていることからその名前がついています。
ライ王のテラス
象のテラスと同時期に作られているそうです。
全長約25メートル高さ6メートル
壁の全面に描かれたガルーダや神々の彫刻はとても保存状態がいいです。
ジャヤヴァルマン7世逝去後、王位についたインドラヴァルマン2世も仏教徒ないし仏教を容認していた王と考えられています。
その次に即位したジャヤヴァルマン8世はシヴァ神を篤信していたと考えられています。
バイヨンがヒンドゥーに変更されたのはジャヤヴァルマン8世治世下です。