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太古の歴史と神秘に触れる アンコール・ワット5日間
アプサラダンスのディナーショーで最後の夜を締めくくります。
アプサラとは
ヒンドゥー教に伝わる水の妖精「アプサラス」
アンコール・ワットの壁面にも刻まれている『乳海攪拌』の物語の中で登場します。
『乳海攪拌』は神々と阿修羅が不老不死の薬アムリタを手に入れるため蛇で綱引きをし、
海を攪拌させるというのが基本的なお話です。
この攪拌された海からアプサラスが誕生しました。
アプサラダンスへ通じるカンボジアの古典舞踊はやはりアンコール期に起源があると言われています。
古来のカンボジアの舞踊は神への祝福・先祖を祀る神聖な儀式であったと考えられています。
アンコール・ワットやアンコール・トムに残されている彫刻からも、
舞踊・踊り子が重要な役目を果たしていたと考えられています。
1432年にアユタヤの侵攻により放棄されたアンコールですが、
この際踊り子などの芸術伝承者がのきなみタイへ連れ去られ、カンボジアの伝統芸能は一度廃絶されたと言われていますが、
アユタヤでカンボジアの伝統芸能が温存され伝承されていきました。
1846年に即位したカンボジアの王アンドゥオンはタイより踊り子を連れ戻し
カンボジア舞踊の再興を始めています。
フランス領時代にも古典舞踊は特に保護されていました。
現在のアプサラダンスはカンボジア独立の父といわれるシハヌーク王の母コサマック主導で宮廷舞踊の再建が試みられました。
アンコール・ワットのレリーフを参考にし、新しい古典舞踊を作り出し
「アプサラダンス」もその時に創出された演目です。
ポル・ポト政権下に古典芸能従事者が犠牲になり、ふたたび古典芸能は破壊されてしまいましたが
内戦終結後1981年に芸術学校が再編され現代に復活しています。
カンボジアの古典舞踊には約4,500もの型があり、
それらを組み合わせて表現されます。
アプサラダンスにはストーリーはなく
歓喜の舞で「喜」の表現だけが用いられます。
ストーリーはありませんが、踊りに使われる唄の意味に合わせて振付がされています。
アプサラダンスの演目自体は比較的新しいものですが、幾度かの悲しい歴史を乗り越えたことを思いつつ
カンボジアの伝統舞踊を鑑賞できるのは
とても恵まれているなーと感じます。